2012年09月01日

大きくパワーアップした2回目のカンボジアでのソーシャルビジネスコンペティション

カンボジアで去年冬に続き、ARUN LAB主催のソーシャルビジネス
コンペティションが開催されました。
地元のプノンペン・ポストや日本の
Sankei Bizが記事を掲載してくださるなど、少しづつARUNの活動への理解が深まりつつあることに感謝しています。

今回は、日本から参加したメンバーの国際基督教大学の武田健吾さんが手に汗握る
現場の様子をお伝えします。

8月6日から12日までの一週間、ARUN LABソーシャルビジネスコンペティションが
プノンペンで開催されました。この企画はARUN LABの活動ビジョンでもある社会的投資
の普及・啓発、人材育成を主な目的として行っていて、去年に引き続きカンボジア
日本人材開発センター(CJCC)の協賛のもと、今年で2回目の開催となります。

カンボジア、ミャンマー、日本の学生が混合でチームを組み、社会問題に
フォーカスしたビジネスアイディアを競い合うという内容で、最終日には
100人以上のオーディエンス・ゲストを迎える大きなイベントにすることができました。

このビジネスコンペの大きな特徴は、実地調査やインタビューといった
アイディエーションの時間と、レクチャーやグループワークでのプランニングの
時間という2つの要素を、1週間という短い期間に集中してスケジューリング
していることです。他のビジネスコンペの多くは、1か月や3か月といった長期間の
準備期間を与えられ、合宿やレクチャーを経て計画を立てるといったプログラムだと
思います。

ARUN LABのソーシャルビジネスコンペでは、「何よりもフィールドワークや、
都市部・農村部でのヒアリングを大切にしたい」という1本の柱を持っています。
想像の中で終わるようなアイディアではなく、少しでも現実のカンボジアの社会と
結びつくもの、将来何かに繋がっていくようなアイディアを持ち寄り、競い合うことで、
ARUN LABのミッションに沿った魅力あるイベントになると考えています。

もう1本の柱は、国際交流としての側面です。今回のビジコンではカンボジアから
8名、ミャンマーから2名、日本から10名の計20名が5チームに分けられ1つの
アイディアを作り上げていきました。ソーシャルビジネスという急速に発展、進歩
している分野について、3か国の学生が混合チームを組み互いに経験、関心を擦り合わせ
1つのものを作り上げる。。。まさに疑似国際ビジネスです。

このような形で国際交流の機会を提供できることは、ARUN LABのメンバーとして
非常に嬉しいことです。僕自身、様々なバックグラウンドを持つ学生から刺激を
受けました。自分の輪郭が少しはっきりしたような気がします。1つの共通の関心を
持ち集まった学生の方々は、最後の最後までビジコンを楽しんでくれたように思います。

最終プレゼンの発表会のため、会場のCJCCアンコール・キズナホールに
集まってくれた方は約130名。まだまだ小規模の大会ではありますが、国際的な
ソーシャルビジネスコンペとしてイニシアティブをとって、今後も大きくなって
いけると感じています。

最後に、未熟ながらこのビジコンを1段階進めるお手伝いをさせて頂いたこと、
右も左もわからない状態での運営をサポートしてくれた皆さん、このビジコンを
大きくしてくれた関係者、参加者の皆様に、皆に僕自身も1人の参加者として
感謝の意を表したいと思いますします。ありがとうございました。
posted by ARUN at 18:16| Comment(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月12日

パートナーズエッセー TEDにはまる日々



  パートナーズエッセイのテーマは何でも良いということなので、
最近私がはまっているものについて、お話したいと思います。

  最近私がはまっているのは、TEDです。
すでにご存知の方も多いかと思いますが、Technology, Entertainment, Design
の略で、Ideas Worth Spreading をミッションとして掲げているサイトです。社会、政治、教育、テクノロジーやアートといった様々なテーマについて、著名人はもちろんのこと、様々な面白いアイディアを持った人たちの興味深いプレゼンを、無料で見ることができるのです。

  とても良いのは、それぞれのプレゼンが15分程度であるため、通勤やちょっとした
空き時間を利用して、色々な新しいアイディアに、極めて簡単に触れることが出来る
ということです。例えば、最近の脳科学の動向、ネット技術の新潮流から、深海に潜む
生物の美しい世界等々、様々なテーマの話がアップされています。まさに、TEDは、
我々を、未知の世界の様々なアイディアにつなげてくれる窓のようなものです。
その、窓を覗くことで、我々は知識の幅を広げることが出来るだけでなく、色々なことを
考えるヒントをもらうことが出来るのです。

  では、その中で、最近、私が感銘を受けた話をご紹介したいと思います。Willian Uryの
The Walk from “No” to “Yes”です。Ury氏は、「ハーバード流交渉術」という本の共著者で、様々な紛争の調停にも携わった人です。彼の主張は、紛争は「ある立場」と「それに対峙する立場」の間で起こるが、「第三の立場」に立つことで紛争の解決の糸口がみつかる、そしてキーワードは”us" 「我々」である、つまり同じ立場に立つことである、というものです。彼のプレゼンは、以下のとても面白い話からスタートします。

ある男が3人の息子に17頭のラクダを残しました。
長男に半分、次男に3分の1、三男に9分の1を残すとしました。
3人の息子は交渉を始めました。
17は2で割れない、3でも割れない、9でも割れない。
そこで兄弟は、賢い老婆に相談しました。
老婆は「力になれるか分からないが、とりあえず必要なら私のラクダをやろう」と言い、
ラクダは18頭になりました。長男は18頭の半分にあたる9頭をもらいました。
次男は18頭の3分の1にあたる6頭をもらいました。三男は18頭の9分の1にあたる
2頭をもらいました。合計17頭です。1頭余ったので、老婆に返しました。


  そして彼は、必要なのは、老婆のように一歩引いて、新しい視点から状況を見つめ、
18頭目のラクダに気づくことです。世界の紛争で、18頭目のラクダを見つけることが
私の使命です。と、話します。もちろん、現実の紛争において、このように18頭目の
ラクダとなるものを見つけることは容易ではないでしょう。しかし、彼が主張するように、
一歩引いて、互いに「第三の立場」に立つことができれば、今まで見ていたものとは違う
ものを見ることが出来る、そして互いに理解しようと努めれば、つまり「あなた」と
「わたし」ではなく「我々」になれれば、これまでとは違う展開が開ける、ということだと
思います。

  私は、この話は、我々ARUNの活動にも通じるところがあるのではないかと思いました。もちろん、我々は何らかの紛争に関与することはありません。ただ、我々ARUNが目標とする社会的投資は、金融仲介における資金の「出し手」と「借り手」という関係だけに止まらない、「第三の立場」という視点が必要ではないかと思っています。社会的投資とはどのようなものなのか、その具体的な手法や定義は、まだ定まっていません。しかし、漠然としたものではあるものの、我々が目指す方向は、資金的な情報だけで相手を捉えるのではなく、「第三の立場」に立ちながら相手を理解すること、そして、単なるお金の貸し借りだけではない、人やアイディアも含めた様々なもモノのやり取りを通じて「我々」となることで、互いの経済的・社会的価値の増大を図ること、これが「第三の立場に立った社会的投資」なのではないか、と思っています。

  もちろん、これは言うほど容易いものではなく、ビジネスとして持続可能なものと
していくには、まだまだ問題も多いことも事実です。しかし、この課題に挑み、ARUNの
社会的投資を新たなビジネスモデルとして確立すること、それこそが我々の使命であり、
まさにIdeas Worth Spreading となると思うのです。別のTEDのプレゼン
(Lisa Gansky のThe future of business is the "mesh")の中で、”Delight is
contiguous” 「喜びは伝染する」というフレーズがありました
(彼女の話の内容は省略しますが、これも面白いのでお勧めします)。ARUNの活動が
「喜び」となって、日本のみならず世界中に伝播していくこと、それが出来れば良いと
思っています。

  TEDに収録されているプレゼンテーションは英語ですが、日本語の字幕入りのものや、
プレゼンの全訳が読めるサイトもあります。
皆さんも是非一度TEDを覗いて、世界中の素晴らしいアイディアにつながってみませんか。

posted by ARUN at 13:09| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月29日

投資先事業の評価

ARUNは、社会的投資のリターンには財務的なリターンと社会的なリターンとがあると考えます。社会的投資を通じた成果がどのような形であがっているのかを把握し共有するために、ARUNは、日々の投資先事業のモニタリングを通じて得られる情報をもとに、事業・財務・社会的インパクトの観点から投資先事業の評価を試みています。今後は、更に評価を進め、評価方法の改善を図っていきます。

■事業評価
 社会的起業家が社会的ミッションを達成するために、どのような事業モデルを作り、どのような体制のもと事業を遂行しているかを評価しています。評価項目には、下記のような視点が含まれています。
・社会的起業家のリーダーシップ:起業家が社会的ミッションの達成にどのようにコミットし、数歩先をいくビジョンを持って、事業を展開することができているのかを評価します。
・健全なガバナンス:ARUNでは、投資先のガバナンス体制を評価しています(取締役会、監査役等の設置)
・事業モデルの革新性・先進性:これまで解決が困難であった社会的な課題を、投資先の社会的事業がどのように新しい方法で解決しようとしているのかを評価します。平坦ではない課題解決の道のりを、どのように試行錯誤しながら進んでいくのか、その取り組みの過程をみていきます。また、先進的な手法を取り入れた事業は、社会で注目を浴び、同じようなミッションの達成に取り組んでいる組織等に対してよい影響を与える、波及効果も期待されます。

■社会的インパクト評価
 社会的インパクトとして最も重要視されるのは、投資先事業が掲げる社会的ミッションの達成度合いです。例えば、ARUNの投資先の一つであるサハクリアセダックの有機米事業では、有機米の生産・販売を通じて、小規模な有機米生産者の生活の質を向上させることが目指されています。この事例では、有機米事業が生産者の所得向上や生産者組合の形成にどのように影響を与えているのか、また農家一人ひとりの生活がどのように変化しているのかを、モニタリングしています。
 この他に、ARUNとして投資先事業に期待している社会的インパクトには、下記のようなものがあります。
・雇用:投資先事業を通じてどれだけの雇用が生み出されているかを評価します。雇用の総数のみならず、従業員のスキル向上や社会的弱者の雇用創出など、雇用の質も重視しています。また、投資先事業における直接的な雇用のみならず、有機米生産者のように事業サプライチェーン全体を通じた雇用創出効果を評価します。
・地域経済へのインパクト:投資先事業の展開が同事業の拡大化にとどまらず、地域にある他の事業やコミュニティの人々にどのような影響を与えるかを評価します。
・環境:投資先事業の実施・展開が、環境改善につながるものを評価します。

■財務評価
 ARUNでは「収益性」「安定性(安全性)」「成長性」「(財務諸表の)信頼性」の4つの視点から投資先の財務評価を行っています。
「収益性」「安全性(安定性)」については、投資対象事業の持続可能性をメルクマールとしています。これは、どんなに社会的意義のある事業であっても、持続可能性がなければ、一時の活動に終わり、ARUNの投資先に適さないからです。「成長性」については、投資先の事業規模(売上高)が、その社会的インパクトの大きさ示すと考え、売上高成長率に着目しています。一方、投資先企業の「財務諸表の作成能力」についても評価を行い、必要に応じた助言も行っています。
・収益性:取引先や従業員に適正な支払いを行いつつ、借入金の元利金の支払いを行えるだけの利益を生み出しているかをメルクマールとします。「金融費用負担後利益」に着目します。
・安定性(安全性):借入金の元利金の支払いを予定通り行えるだけの営業キャッシュ・フローを確保できているかどうか(フローに着目)、事業規模に比べ過大に借入金が積み上がっていないか(ストックに着目)等の観点から、投資先の持続可能性を評価します。「営業キャッシュ・フロー」「負債比率」等に着目します。
・成長性:事業規模の指標である売上高の成長を最も重要な基準として設定し、「売上高成長率」に着目します。社会的企業は、事業活動を通じて生産者、従業員、地域社会等に社会的なインパクトをもたらしており、事業規模の拡大が社会的インパクトの規模を決定する重要な要因であると考えています。
・財務諸表作成能力:投資先が、適時に必要な財務諸表を作成できるかどうか評価します。ARUNの投資先には、基本的に月次での業績報告を求めています。

 社会的インパクト評価については、10月6〜7日のシンポジウムでもセッションを持ちますので、皆さまぜひご参加ください。
posted by ARUN at 23:42| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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