2013年01月21日

エッセー  クラスフォーエブリワンとの遭遇 (たまげたフィリピン訪問記 その2)

その青年は、高濱宏至さん。立教大学卒業後、
楽天でのシステムエンジニアを経て2012年に
NPO法人Class for Everyone(クラスフォーエブリワン、以下C4E)を設立した。

楽天で学んだIT技術を使って、学生時代に温かい
ホスピタリティに感銘を受けたフィリピンで何か恩返しが
出来ないかと日本とフィリピンを行き来する。まだ27歳だ。

「世界の情報格差を是正し誰もが平等に情報や教育機会を
得られる社会を創りたい」というC4Eのビジョンは、
ARUNの「地球上のどこに生まれた人も、ひとりひとりの
才能を発揮できる社会」と重なる。

面白いなあというか、すごいなあと思ったのは、
フィリピン滞在中、高濱さんはスラムに
住んでしまうのである。現場にいるといろいろ見えてくる問題が
あるそうで設立からまだ1年もたたないのに、
色んなアイデアを思いつき実践している。実践の場である
メトロマニア州のタギッグ市に
あるスラムに案内してもらった。ドブ川が真横を流れメタンガスの
異臭が発生している。高濱さんは鼻が慣れたそうで、
なんともたくましいのであった。

昨年上半期、縁がありこのスラムに入った高濱さんは、
まずスラムに暮らす約30世帯にヒアリング調査を実施。
プロジェクトの1つとして、相対的に苦しそうな家庭に、
4000円から1万円程度の資本を出資し、ビジネスをスタートさせ、
スラム内で資金が循環する仕組みを作ろうとしている。

それが例えばサリサリストアと呼ばれる駄菓子屋さん事業であったり
調理に使う炭の小売り事業であったりする。地元の人たちは
損益計算などの習慣がないので改善余地は大きく、
資本を出しエクセルで帳簿をつけるよう指導していけば、
黒字化を促進できるようになっていくというのだ。累計した
利益がシードマネーの2倍になったら元本を返済してもらう。
それがこのプロジェクトの基本的なスキームだ。フィリピンでは
就業者の約30%が自営業者なんだそうで、この自営業者黒字化
プロジェクトは、フィリピンにふさわしいプロジェクトだという。
利益が改善するようになれば家庭に資本が蓄積し子供が教育を
受けることも可能になり、正の循環が生まれる。


このほか、他団体が途上国で行うICT教育などを発展させることを目指し、
日本の廃棄対象のパソコンをリユースし、ラオス、ガーナなど
アジア・アフリカの途上国へ送る事業も展開している。

新興国と先進国にあるIT製品の格差を埋められるだけでなく、
寄付する企業や個人からすれば廃棄するよりも二酸化炭素の発生を
削減できると一石二鳥。テーブルフォーツーの環境IT版といったところだ。
こうして高濱さんは、「貧困層に生まれた子どもたちがパソコン使いこなし、
自分で稼げる自立した大人成長してほしい」と夢を語る。

C4Eのスラム起業家プロジェクトは、かなりイケるのではないか
ということでヒートテックとウルトラライトダウンの売り上げから
創設されるユニクロのファンド、Clothes for Smiles に応募している。


実は、前半でご紹介したユニクロや無印商品が入るモールオブアジアに
案内してくれたのも高濱さんだ。無印商品に入るや否や
「日本と全く同じ商品が売っているんですよ。ノートは日本の方が安い、
手帳はフィリピンの方が安い」と、アイテムごとに裁定取引の余地がないか
キョロキョロしている。

スラムでも気さくに話しかけられ、次々にビジネスアイデアが生まれる
フィリピンに高濱さんはとっても馴染んでいるようだった。
スラム街の近所にある露店街を配置換えし売上を上昇させるプロジェクト
なども既に構想にはあるし、タギックでの事例がうまくいけば、他のスラムへの
応用も可能ではないかと夢は膨らむ。

しかし、「見えざる手」でフィリピンが目覚ましく発展しているのにも
驚いているおじさんは、フラット化する世の中で先進国を追いこそうと
している新興国の貧困問題などほっといても何とかなるんじゃないかと、
意地悪な質問もしてしまう。

彼は、教育も受けられず弱者であり続けることで既得権益層の利益に
貢献しているわけだから、手をいれないと変わらないと考える。
さらに高濱さんは、「教育という前提条件を平等にし健全な勝負を
盛り上げたいという活動を面白くないと思う富裕層もいるだろうが、
チェ・ゲバラや吉田松陰が好きな私はとめられない。松陰が権力に抵抗し
処刑されたのは29歳だったので、僕の人生もあと2年しかないかもしれないと
思って進んでいます」と、どこまでも意気盛んで私は10倍返しで打ちのめされて
しまった。そう、C4Eは、21世紀の松下村塾、私塾運動でもあるのだ。

高濱さんの活動を見せてもらいながら、タイで「スラムの天使」と呼ばれ
マグサイサイ賞を受賞したプラティープさんを思い出した。

ただ、C4Eは、もう60歳だというプラティープ世代とも異なるアプローチに
なるのだろう。企業的なテイストであったりIT活用であったりを
盛り込んだハイブリッドな新しいモデルが出てくるんだろうなあと
期待してしまう。

高濱さんが「スラムの貴公子」と呼ばれ、ARUNが誇るカンボジアの
コマ博士に続いてマグサイサイ賞をとるのはいつの日ことだろうか。
今から楽しみにしている。
posted by ARUN at 09:10| Comment(10) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月17日

来月7日に迫るARUN3周年シンポ。豪華ゲスト、米倉氏・岩瀬氏も登場

このたびARUNでは、設立3周年シンポジウムを開催いたします。

ARUN合同会社は、国際協力に携わってきた者と、金融やビジネスの
世界で仕事をしている者とが出会い、「途上国の社会起業家の夢の
実現を、社会的投資で応援したい」という思いを共有したところか
ら、始まりました。

2009年12月の設立以降、カンボジアの社会的企業4社への投資とハ
ンズオン支援、社会的投資のモニタリング基準の策定、セミナーや
国際シンポジウムを通じた社会的投資の普及活動等に取り組んで参
りました。

そこで、日頃からご支援いただいている皆様、ARUNにご関心を寄せ
ていただいている皆様へ感謝の気持ちを込めまして、ARUN3周年シ
ンポジウムを開催させて頂くこととなりました。

ARUNのこれまでの活動の成果をご報告させて頂くとともに、これか
らの具体的な活動プランについても発表させて頂きます。ご参加の
皆様からも様々なご意見を頂戴し、今後の参考とせて頂けたらと考
えております。

また、ゲストスピーカーとして一橋大学イノベーション研究センタ
ー教授米倉誠一郎様、ライフネット生命副社長の岩瀬大輔様にご登
壇いただき、ARUNのパートナー(出資者)も交えたトークセッショ
ンを開催する予定です。

ARUNにとっての大きな節目となる会にて、皆様にお会いできますこ
とを楽しみしております。ご多忙とは存じますが、ふるってご参加
賜りますようお願い申し上げます。

(お手数ですが、ご参加いただける方は2013年1月31日(木)まで
に以下のサイトにアクセスし、必要事項をご記入ください。)

http://arunllc.us2.list-manage.com/track/click?u=54e9432cfec5400e7d2b97f18&id=8d6bef3ec3&e=295f7fac69


━ 開催概要 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■日時:2013年2月7日(木)
18時30分 会場受付開始
 19時00分〜21時00分 シンポジウム
 21時15分〜 懇親会
 ※懇親会は別途参加料金を頂きます。ご了承ください。

■プログラム概要(予定)
 1.ARUN合同会社 これまでの活動とそこから得られた学び
  ARUN代表 功能聡子、ARUNディレクター・パートナー

  #社会的投資という新しい金融スキームへのチャレンジ、ARUNの
   ハンズオン支援の成果等についてプレゼンテーションいたします。

 2.ゲストスピーカーによるプレゼンテーション
 「ソーシャルビジネスの視点からみた社会的投資」(仮)
   一橋大学イノベーション研究センター教授 米倉誠一郎様
 「経営者の視点からみた社会的投資」(仮)
   ライフネット生命保険株式会社 代表取締役副社長 岩瀬大輔様

  #先駆的な活動を展開されてきたゲストスピーカーの斬新な視点
   から、社会的投資の魅力や課題について語っていただきます。

 3.トークセッション「社会的投資のスケール・アップに向けて」(仮)
  ゲストスピーカーおよびARUNディレクター・パートナー

  #ARUNがこれまで得た様々な学びをもとに、社会的投資のスケール
   アップの可能性について、ゲストスピーカーとともに議論します。

■会場
 いきいきプラザ一番町 カスケードホール
(東京都千代田区一番町12)
(最寄駅:東京メトロ半蔵門駅5番出口、麹町駅5番あるいは6番出口)

 (地図)
 http://www.ikiikiplaza-eiwa.jp/access.html

○地下鉄有楽町線「麹町駅」
    5番出口より徒歩5分
 ○地下鉄半蔵門線「半蔵門駅」
    5番出口より徒歩5分
 ○JR・有楽町線・南北線・都営新宿線
    「市ヶ谷駅」より徒歩13分


■参加費

 1,000円 ※おつりが出ないようにご協力をお願いいたします

■お申し込み方法
 お手数ですが、2013年1月31日(木)までに以下のサイトにアクセスし、
 必要事項をご記入ください。

 http://arunllc.us2.list-manage.com/track/click?u=54e9432cfec5400e7d2b97f18&id=8d6bef3ec3&e=295f7fac69
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パートナーズエッセー 25年ぶりのフィリピンに「たまげた」 その1

今回は広報チームの私、SOが先月、約1週間滞在した
フィリピンでの訪問記を掲載いたします。

パートナーズエッセー

25年ぶりのフィリピンである。
夜マニラに到着し朝、ホテルの高層階から
外を眺めて、たまげた。
高層ビルの建設ラッシュである。
やはり資本主義はすごい。
今日よりも明日、明日よりも明後日の生活向上を夢見た人たちの
欲望が、マニラを高層ビル都市に変化させようとしている。
ほんとかウソか知らないけれども
湾岸にあるモールオブアジアというショッピングモールは
今、アジア最大なのだという。
のぞいてみると
スターバックス、H&M、ギャップ、ユニクロから無印良品まである。
なるほど、これがユニクロの柳井さんが言うところの
アジアへのゴールドラッシュなんだなあと思う。
今進出しないでいつ進出するの?
そんな感じで多国籍企業の出店が相次ぐ。

値段だって売っているものだってほとんど
日本と変わらない。ビバ中産階級。
店頭で堂々とダウンを陳列している。
常夏の国のショッピングモールになぜ
ダウンを着たマネキンが並ぶのか。
町にクーラーが普及し始めたからだというユニクロは
いうのだろう。

似たような話は、ファミリーマートでも聞いたことがある。
約20年前、コンビニエンスストアでタイに進出したとき。
ある時期から、食品だけでなくストッキングが売れるようになる。
それがオフィスのクーラーの普及期と重なるというのだ。

フィリピン進出をもっとも成功させている
日本のコンビニはイオン系のミニストップ
なのだが、まだ店にストッキングは目立たなかった。ということは
「アジアの虎」フィリピンにはまだまだ成長余地があるということか。
すでに町では
地球温暖化に備えて植林活動までが始まってて
日本の成長の軌跡をワープして事態が進行しているようにも
見える。
平均年齢22歳、昨年の株価上昇率は世界ベスト10入りし
破竹の勢いを感じる。

「見えざる手」アダムスミスが泣いて喜びそうな
光景にあっけをとられながら思い出したことがあった。
25年前、マニラ湾に面するスラム街、ナボタスに数日滞在する
機会を得て現状を何とかしなければいけないと思った「健気な」大学生だった
私は、マニラ湾沿い塩田を作って塩を売ることで地元民の職を
作り救おうと思ったのだ。
そのあまりの浅はかな考えというか
ビジネスセンスのなさに改めて赤面してしまった。
余計なことしなくてよかった。

といいつつも、
フィリピンは、「見えざる手」だけでは
解決しない問題も抱えているようだった。。
私が25年前に衝撃を受けた
ナボタスの不法占領地域は タクシーの運転手さんに
よれば約3倍に広がったという。
豊かさを求めて地方から流入してくる人たちが
勝手に家を建て、生計をたてる。

朝、地域をみにいくと
午前6時前から乗り合いバスにのって働きにいったり
学校にいったりしていて、かなり勤勉だ。でしっかり家には
テレビや冷蔵庫があるわけで仕事がなくて困っている
わけではなかった。(もちろんない人もいるだろうが)
最大の問題は、1日200円にも満たない最低賃金の国なので
生活費を払うと金が残らず資本が蓄積しないのだという。

そこで今、ARUNが意識しているソーシャル
レンディングであったり、社会起業家の登場となる。
マニラ滞在中、私は、「彼はマグサイサイ賞いや
ノーベル平和賞までとってしまうのではないか」と
思わせる素晴らしくたくましい日本人男性にあった。
この話は次回。






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