2012年11月19日

ソーシャル・インベストメント国際シンポジウムを終えて

ARUN合同会社の土谷和之ディレクターがイベントを振り返ります。

 去る10月6日、7日にわたり開催された「ソーシャル・インベストメント
国際シンポジウム」は、2日間で200人を超える方にお集まりいただき、
無事盛況のうちに終了しました。

 準備におよそ1年近くかかったシンポジウムでしたが、参加者のみなさんと
ソーシャル・インベストメントの可能性を共有できたことは、オーガナイザー
として非常に嬉しいことです。改めて参加者、関係者のみなさんに御礼申し上げます。

 さて、このシンポジウムでは、ソーシャル・インベストメントを先駆的に
実践してきた団体からそれぞれの活動をご紹介いただきました。
そこで分かったことは、ソーシャル・インベストメントには非常に多様な
スキームがありうること。寄付(フィランソロフィー基金)を原資として
中小規模のソーシャル・ビジネスに投資するアメリカのアキュメンファンド
個人からの出資をベースにし、マイクロファイナンス機関を中心としながら
ソーシャル・ビジネスにも直接投資をするオランダのオイコクレジット
機関投資家から出資をベースとしてリスクを取りながらも高いリターンを
目指すインドのアヴィシュカル。「ソーシャル・インベストメント」と
一括りにするのは難しいと感じられるほど、各ファンドの特色が色濃く見えた
シンポジウムであったかと思います。

 これは少し視点を変えて捉えれば、投資先のソーシャル・ビジネスの状況や
出資者の特性、またその国・地域の特色にあわせたスキームをうまく組み合わせて
いけば、より効果的な投資が可能であるといこと。たとえばアヴィシュカルはハイリスク
ハイリターンのベンチャーキャピタル的な投資であり、投資先のソーシングや
モニタリングにもかなりのコストをかけているようですが、これはアヴィシュカルが
インド現地に密着したファンドであるからこそ可能なスキームでしょう。

 またスタートアップの企業にイクイティ(株式)投資を行っても、ある程度成長
したところで他のファンドに高値で売却できる、というインドの金融マーケット環境にも
依存しています(カンボジアでは、残念ながらそこまで金融マーケットが熟して
いないように思います)。

 一方、アキュメンファンドもインドの社会的企業に投資していますが、投資先のビジネス
には援助機関からの資金も入っているケースが多く、またアヴィシュカルほどの高い
リターンを追求していません。またオイコクレジットは長期にわたり、出資者に対して
年2%の配当を安定して生み出していますが、これは一定の投資リターンが見込める
マイクロファイナンス機関への投資が中心であるから成り立つスキームです。

 ARUNは「日本における個人・法人からの出資→途上国の社会起業家の投資」という、
ある意味単一のスキームで運営していますが、今回のシンポジウムで得た情報や
ネットワークも活用しながら、より効果的なスキームを模索していきたいと考えています。
 
 また、私がオーガナイズを担当した分科会B-2「Social investment and Scaling-up
partnerships (role of public sectors and foundations)」では、アヴィシュカル代表の
Vineet氏から同ファンドがどのようなプロセスでスケールアップしてきたか、
詳細にプレゼンテーションしていただきました。プレゼン資料が以下のサイトにアップ
されているので、ぜひご覧いただきたいのですが、アヴィシュカルがARUNと同様に個人出資
によるファンドレイズからスタートし、民間財団、開発系金融機関、商業投資機関、、と
徐々にパートナーを増やしていった経緯が詳細に語られています。 ソーシャルファンド
における、こうしたファンドレイズのプロセスがクリアに語られることは少ないので、
非常に貴重な資料であり、分科会であったと感じています。

http://www.arunllc.com/2012/10/27/pictures/

 このように、このシンポジウム自体が情報発信としての価値をもつものでした。ただ、
この機会を単なる「イベント」として終わらしてはいけないとも感じています。
本シンポジウムで得られた知見もベースとしながら、ARUNでは、新しいソーシャル・
インベストメントのスキームづくりと実践に邁進していきたいと考えています。
ぜひこれからも応援よろしくお願いします!
posted by ARUN at 04:05| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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